どんなお仕事?
「猿島」「第二海堡」「浦賀ドック」などをめぐるツアーで、訪れる観光客の皆さんに向けてガイドを行います。分かりやすさはもちろん、ホスピタリティを重視するのが特徴。時にエンタメ要素を入れながら、お客さんにとっておきの体験を提供するサポートをしていただきます。充実の研修があるので、未経験の方でも大丈夫。ゆくゆくは人気の「YOKOSUKA軍港めぐり」の案内人を担当するかも!
針谷法子

針谷法子

針谷 法子NORIKO HARIYA

まったくの未経験から飛び込んだら、
自分の個性を活かす楽しさが見つかった

「いつもお客さんの笑顔が絶えないツアーの中心には、それ以上の笑顔があふれる針谷さんの姿があります。未経験でチャレンジしたものの、研修では冷や汗の連続・・・。しかし、その先には、自分もお客さんも「楽しい」、とっておきの時間が待っていました。その雰囲気をつくる秘訣とは?

沓澤君へ一言エールを!
よっ!船を語らせたら日本一!
ガイドに憧れて未経験でも〝ダメもと〟で応募

ガイドに憧れて未経験でも〝ダメもと〟で応募

どんなきっかけでガイドをしているんですか?
ガイドの仕事は、元々やってみたいと思っていたお仕事だったんです。観光地の鎌倉や箱根へ行って、年配のガイドさんが外国人を案内しているのを見て、「こういう仕事って年齢がいってもできるんだな」と思っていました。私は英語ができないので、日本語でガイドをやってみたいな、と。でも、周りにガイドをやっている人もいなかったし、私には経験もない。たとえ求人があっても「経験者募集」が多いんですよね。そんな時に見つけた「第二海堡(かいほう)」のガイド募集は、経験が無くてもOKで、研修も付いている。ダメもとで応募したら、なんと採用になりました。
誰でも分かる言葉を使うことが何よりも大切

誰でも分かる言葉を使うことが何よりも大切

始めた頃はどうでしたか?
研修の始めの頃は、なかなか大変でした。ガイドそのものの仕事に興味があって応募したので、歴史などの知識に関する研修では何のことか分からないことも多くて。その日の研修が終わる頃には、自分の中に知識が増えたのではなく、ただ「疲れた」みたいな(笑)。でも逆に私の場合、それが良かったんだと思います。第二海堡や猿島に来るお客さんの中には、興味がある人はもちろん、何も分からずあまり興味なくいらっしゃる人もいるんですよね。そういう方には専門的な言葉ではなく、誰でも分かる言葉を使わないと伝わらないことを、研修で一番初めに自分が体験しました。なので、できるだけ噛み砕いて、難しい言葉を使わず、誰が聞いても「そうなんだ」って分かることが一番必要なんじゃないかなって。今も、ガイドのシナリオを作る時には、そう心がけています。
ニックネームを使うことでグッと距離が縮まる

ニックネームを使うことでグッと距離が縮まる

いつも気を付けていることは何?
お客さんにとって名前を覚えやすく、話しかけやすくなるように、ツアーの始めに自己紹介をする時には「キャサリンです」って言うんです。そうすると笑いが起きたり、知らない人同士だったお客さんの雰囲気が一瞬ゆるんだり。私も笑っていただいたことでお客さまとの距離が少し短くなって、ガイドしやすくなるというのもありますから。でも実際に「キャサリン」と呼んでもらえる事もあるんです。本名じゃないことがきっと分かっているから、余計に話しかけやすいのかなって思います。若い参加者さんの中には、ガイドの最後に「キャサリーン!」と叫んでくれたりして(笑)。なので、当初からずっと、ガイドをするときはニックネームでやっています。
ガイドの評価は〝お客さんがいかに楽しめたか〟

ガイドの評価は〝お客さんがいかに楽しめたか〟

ある時のツアーで、大勢のお子さんとお母さんのグループを案内することになりました。小さな子どもたちだから、いつも通りガイドしても難しいと思い、お母さんたちに向けて少しガイドをした以外、ほとんどの時間は子どもたちと遊んでツアーを終えたんです。そうしたらお母さん方が「次また来た時、キャサリンさんにお願いできますか?子どもたちを飽きさせなかったから」って。正確に案内することよりも、一緒に楽しく歩く事がお客さんの印象に残るんだ、と思った象徴的なエピソードでした。お客さんが「いかに満足するか」「いかに楽しかったか」ということこそ一番大事なんだな、ということを勉強させていただいたツアーでした。
一人ひとりに良い思い出を持って帰ってもらいたい

一人ひとりに良い思い出を持って帰ってもらいたい

ガイドをしていて楽しい時は?
極論を言うと、場所よりもお客さんとのやり取りが楽しいんです。ある場所に行く時には、ちょっと下調べしてくるとか、興味があって来られる方って多い。でも猿島みたいに気軽に来られるようなところだと、「なんかよく分からないけれど友だちに誘われてツアーに参加してみた」と、つまらなそうにしているお客さんもいらっしゃると思います。そんなお客様を1回でも笑わせたり、1回でも頷かせたいと思って、ツアー中にはいろいろなことをします。人数が多くても絶対に全員の目を一度は見るようにしていますし、つまらなそうにしている人には何回か目を合わせたり。最終的にお客さんに「なんか良かったな」と思ってもらえると本当に嬉しいです。
いろいろなお客さんに育てられて成長を実感

いろいろなお客さんに育てられて成長を実感

これからの目標は?
その日の調子やツアーの雰囲気に左右されないようにすることです。案内するグループによって、雰囲気が全然違うんですよね。参加してくれた皆さん自身が前のめりになってツアーを盛り上げてくれたり、全然反応がなかったり。後者の時、たまにガイドがその雰囲気に引っ張られて落ち込んでしまうことがあるんです。そんな時でも引き付けられるように、いつでも自分をしっかり持っていたいです。そのためには、知識の厚みが必要だと思うんです。お客さんが興味のありそうな情報をこれでもかとお伝えして、どこでお客さんが「へぇ」ってなるか試してみる。でも「あ、これ以上ネタがない」ってなると、押されてしまいます。でもそんな時は「もっと〇〇を勉強しなきゃ」ということをお客さんに教えていただいているんですよね。こうしてお客さんに育てられながら、日々しっかり勉強していきたいですね。
それぞれの個性を競い合って楽しく仕事できたら

それぞれの個性を競い合って楽しく仕事できたら

ガイドを考えている人にメッセージを!
この仕事は、その人の持っている個性をお客さんとのやり取りの中に組み込んで、一人ひとりのオリジナルでできるものだと思います。例えば私はアットホームなガイドをしたいなと思っているので、「教える」みたいなスタンスじゃなくて、「お友達と話をしているような感じ」でガイドするように心がけています。ガイドをやっていると、お客さんとのやり取りの中で「知識がまだまだだなあ」とか「もっとこれ楽しく説明できたなあ」とか、難しさを感じることがあるかもしれません。でも、こんな機会があって〝楽しい〟が第一に思えるようにガイドをしていきたいですよね。未経験でもまったく問題ないですし、本当に楽しい仕事。多くの仲間たちと、個性を競い合って案内できたら、もっと楽しいと思います。

取材・文 / 臼井遥比
上記の情報は取材当時のものです

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