どんなお仕事?
「猿島」「第二海堡」「浦賀ドック」などをめぐるツアーで、訪れる観光客の皆さんに向けてガイドを行います。分かりやすさはもちろん、ホスピタリティを重視するのが特徴。時にエンタメ要素を入れながら、お客さんにとっておきの体験を提供するサポートをしていただきます。充実の研修があるので、未経験の方でも大丈夫。ゆくゆくは人気の「YOKOSUKA軍港めぐり」の案内人を担当するかも!
沓澤晃太郎

沓澤晃太郎

沓澤 晃太郎(27)KOUTARO KUTSUZAWA

「好きなフィールド」と「好きなこと」がつながった
ここだけの特別な体験をお客様に提供したい

「YOKOSUKA軍港めぐり」の人気案内人として活躍する沓澤さん。海の上でガイドをする、という特殊な仕事との出合いとは?そして、どんなことに気を付けて、を工夫しながら日々案内をしているのでしょうか? 船長も兼任する、という珍しい仕事について、想いを語っていただきました。

クーパーさんへひとこと!
さまざまな場所でマルチに活躍していてすごい!いろいろと参考にさせてもらっています。お客様を楽しませるために一緒に頑張りましょう!
大好きな海で人気クルーズの案内&舵取りを担当

大好きな海で人気クルーズの案内&舵取りを担当

どんな仕事をしている?
「YOKOSUKA軍港めぐり」などのクルーズ船のガイド・船長です。基本的には1日複数便を週に3〜4日ほど担当しており、時には、イベント限定で出航する特別なクルーズで、お客様をお迎えすることもあります。大好きな海の上で、学生時代に学んだ船の知識を生かしながら得意な接客の仕事をしている今、毎日が楽しくてたまりません。入社以来、通算1,000回くらいはお客様を乗せてガイド、または舵取りをしてきました。最近では後輩の指導にあたることも増えてきて、私自身も会社を引っ張っていく立場であることを自覚するとともに、気合を入れ直す日々です。横須賀出身ではないからこそ持っている観光客としての視点、誰よりも強い海や船への情熱、お客様と近い距離で接する中での気づきなどを生かして、私にしかできない形で貢献していきたいと思います。いつかは、会社にとって、そして何よりお客様にとって、「横須賀と言えばクルーズ、クルーズと言えばガイド、ガイドといえば沓澤!」という存在になりたいですね。
「接客と海」好きなキーワードがつながった

「接客と海」好きなキーワードがつながった

入社のきっかけは?
「海のそばで幼少期を過ごしましたし、ここに入社する前も同じ業界で働いていたので、まさに海なしでは語れない人生を送ってきました。水産系の国立短大に通っていたのですが、いざ進路選択の時期を迎えると「漁師」か「船乗り」しかなく、海はこんなに広大なのにどうして・・・と絶望したのを覚えています(笑)。その中で私が唯一興味を持てたのが客船でした。好きな海や船に関わりながら得意な接客ができるとあって充実した社会人生活を期待していましたが、実際には船員としての業務がほとんど。自分は船乗りになるんだっけ?と、違和感が大きくなっていきました。なんとなく仕事を選ぶ基準としていた「接客×海・船」が、自分にとって絶対譲れないものだったのだと自覚したのはこの頃です。そこからは自分の軸に沿って転職先を探し、トライアングルに入社しました。
苦手分野も工夫して自分のものにしていく

苦手分野も工夫して自分のものにしていく

仕事で大変なところは?
苦手なものは歴史ですね。ただ、案内人をする上では避けられないテーマなので、説明の量を少し減らして海や船に関する情報を多く盛り込むように調整したり、自分なりに工夫しています。実は、私たちの案内には台本がなく、何をどう話すのかはそれぞれに任されているんです。だからこそ、私にしか提供できない価値を届けられればと思っています。とはいえ、歴史に触れずに横須賀の海を語ることはできません。そこで、歴史に疎い私でも面白いと思える小ネタを調べ、トークに取り入れるようにしています。例えば、「ペリーの奥さんはすごく怖かったらしい」とか(笑)。決して役に立つ知識ではないけれど、なぜか頭に残ってしまいますよね。お客様一人ひとり、興味も考え方も違うからこそ、誰にとってもツアーの思い出の一部となるような話をするように意識しています。お客様の満足度を左右する責任ある仕事だからこそ、苦手も生かして良い案内を届けたいですね。
多様なお客様によって育てられているのを実感

多様なお客様によって育てられているのを実感

案内をしていて印象的だったエピソードは?
私は普段から、直接聞いたり表情や反応を確かめたりしながらトークとお客様の関心をすり合わせていくのですが、小学生の団体を案内した時はセオリーが通用せず焦りました。興味のあるテーマも、盛り上がる話し方も全く掴めず・・・。無難に子どもが好きそうな生き物の話題を振ってみたものの、つい真面目な会話をしてしまって、耳を傾けてくれていたのは引率の先生方だけだったという悲しい思い出です(笑)。場数を踏んでも、お客様のタイプや天気などによってトークが弾まない時はあります。どんな時でも全員を喜ばせられるように、準備しておかねばと再認識した出来事でした。一方で、ほっこりエピソードもあります。どんなに喜ばせようとしても、笑わないどころか、無表情を貫くおじさまのグループ。「笑ってはいけない船上」で、1人で漫才をしている寂しいガイドになってしまったことがあります。正直やってしまった!と思いました(笑)。しかし、帰り際におじさま方は満面の笑みで「楽しかった!」「お兄ちゃん目当てにまた来るよ!」とわざわざ御礼を言いに来てくれたんです。驚きましたが、お客様の満足度は反応だけでは測れないんだな、と学んだ嬉しい思い出です。
自分の個性を最大限活かせる環境があった

自分の個性を最大限活かせる環境があった

今までの仕事でどんな成長があった?
私の案内では、「知る喜び」や「謎が解けた面白さ」を体験してもらうことを目標にしています。もちろんハードルが高い知識というわけではなく、知って良かったと思えるようなちょっとした学びです。横須賀でクルーズに乗ったお土産として覚えて帰ってくれたら嬉しいなという想いで、日々アイデアを練って、話に盛り込むようにしています。学びで得られる喜びを提供するというコンセプトは、きっと真面目な私にしか実現できないことかも(笑)。でも案内人デビューを果たした直後は、この真面目さが仇となり、情報過多な案内になってしまうことも多く、「丁寧だけれどもお客様との距離を置く高級ホテルのようだ」と指摘されてハッとしましたね。お客様と双方向的な会話を楽しむこと、そして語尾を少しカジュアルにして親近感を持ってもらうようにしたら、うまく回り始めました。そういったヒントを先輩たちからたくさんもらいました。今の私があるのは、個性を尊重した上で何がベストか一緒に考えてくれる仲間のおかげです。
自分なりに工夫できる環境でさらにレベルを上げたい

自分なりに工夫できる環境でさらにレベルを上げたい

やりがいを感じているのはどんなこと?
海や船に関する知見を生かしながら、好きな接客ができる。これほど自分にフィットする仕事は他にないと今でも思っています。改めて今の働くモチベーションを考えてみると、やっぱりやりたかったことや好きなことが全て叶っているということが大きいかな、と思います。案内を自分色にアレンジさせてもらえる自由度の高い職場で働けていることも、仕事を頑張れる理由の1つです。「この仕事をやっていて良かった」と感じるのは、いつもお客様と直接関わっている時。ありがたいことに、最近では私の案内を目的に遠方から駆けつけてくれるお客様もいて、そんなリピーターの存在が、私にとってガイドのやりがいそのものになっています。この先も、横須賀に遊びに来てくれる人を増やせるように、勉強やトレーニングに一層力を入れて、案内のレベルを高め続けていきたいです。
自分らしい仕事に出合えたことに感謝

自分らしい仕事に出合えたことに感謝

周りの人たちの評価はどう?
先日、小学生向けの講話で職業を聞かれ「船長と案内人」と答えた時、子どもたちは珍しそうにしていましたが、私はすごく誇らしかったです。そして、「好き」だから「頑張れる」ことを仕事にしてね、とエールを送りました。私の両親は、進路選択で落ち込んでいた私を見ていたこともあって、今こうして私がやりたかった仕事に巡り会えたことを、自分のことのように喜んでくれています。また、なぜか昔から船乗りとパイロットに強い憧れを抱いている祖母は、私が船乗りとしても活躍していることを知って、夢が叶ったといつも嬉しそうです。そんな反応を見ても、この仕事に出合えて良かったとつくづく思っています。
地域を代表して観光客に特別な思い出を提供したい

地域を代表して観光客に特別な思い出を提供したい

ガイドに興味がある方へメッセージを
今、こうして好きなことを仕事にできている私ですが、まだまだ発展途上です。お客様を1人も漏れなく楽しませられるように、上を目指し続けたいです。その延長線上に自分のファンになってくれる人がいれば、これほど幸せなことはないですね。この仕事は、マニュアルがありませんから、自分がどれだけできるかが重要。一般的な接客とは少し違うかもしれませんが、お客様が過ごす時間をコーディネートして、その人の人生を変えてしまうくらいの影響力のある体験を届けられる素晴らしい仕事だと私は思っています。海や船、横須賀の街、歴史、いろんな魅力がありますが、1番大切なのはお客様に特別な思い出を提供したいという強い想いです。お客様の満足度を左右する最大の要因は間違いなく私たちガイドなので、そのことを肝に銘じ、観光客を迎え入れる横須賀の代表という思いで、プライドを持って一緒に仕事に向き合える仲間が増えるといいなと思います。

取材・文 / 成松采実
上記の情報は取材当時のものです

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